2012年4月のエントリー 一覧

ヤング≒アダルト ( 2011 )監督: ジェイソン・ライトマン B+
冒頭からの細かい描写がそこかしこにイカしてて、割にシンプルな話にも関わらず最後まで飽きさせずに見せる。相当イッちゃってるヒロインではあるものの魅力的に描かれシャーリーズの演技も良かった。ただなんだろう、物語にバネが足りないので少々物足りなくも感じる。

お葬式 ( 1984 )監督: 伊丹十三 A
ウン十年ぶりの再見だが実におもしろい。切り取られているカットのひとつひとつがどれも興味深い。お葬式あるある映画のように当時喧伝され自分もそう思い込んでいた節があるが、そんな器の映画ではなかった。クセ者揃いの演技陣の中にチョイ役で黒沢清が顔を出すがすぐにわかった。

LOFT ( 2006 )監督: 黒沢清 C-
いやあ、難易度高いわ。ていうか難易度なのかこれって。どう観たっておもしろいだろ、これは、と言い切るにはまだまだ僕も修行が足りない。ひとつ踏み外せば何も響かない空虚な深淵がすぐそこに控えているのだ。ラストに爆笑すべきなのかどうかもわからぬままにそっと辺りを伺う。

ゴーストライター ( 2010 )監督: ロマン・ポランスキー B
じわりじわりと進行するサスペンス。余裕たっぷりの物語展開。人物と周囲をゆったり捉えた撮影。曇天中心の落ち着いた質感。どれをとっても一級品の風格。ラストの処理にも唸る。

戦国自衛隊 ( 1979 )監督: 斎藤光正 C+
とりあえずまあ何を置いても石川賢のマンガからそのまま抜け出してきたような相貌の千葉ちゃんがカッコ良すぎます。映画的にはそこかしこにツッコミどころ満載ではあるけれど、いささか長すぎるという点を除いては存分に楽しめた。夏八木と千葉のキャッキャウフフも堪能。
映画をキチンと観るのは初めての筈だが、かかってた曲はほとんど知ってるという不思議。
当時の「バラエティ」でさんざん撮影時の情報とか読んでたクセに肝心の映画自体は観てないというパターン。

チェンジリング ( 2008 )監督: クリント・イーストウッド B++
なんとも凄い映画だなあ。ほとんど前情報なしで観始めたのだが、全然予想と違う映画であった。ヒューマン・ドラマかと思ってたら、告発ものであり、サスペンス・ミステリーであり、ある種のホラーでもあり、捉え所がない映画と云えるのだが得も言われぬ凄みがあるという。
アンジェリーナ・ジョリーの顔を活かしきった映画でもある。画面の左半分に大写しにしてデカい眼からツーッと一筋の涙をこぼすカットなんて彼女じゃないと画にならない。

家族ゲーム ( 1983 )監督: 森田芳光 C+
やはりかなり特異な映画だとは思うが、今の僕にとってはそれほど引き込まれるものでもなく、やっぱ観るタイミングというのはあるなあ、と再認識。それでもラストの平穏さ/不穏さにはちょっとヤラれた。森田監督作品は代表作を全然観てないのでこれから少しずつ。

オンリー・ユー ( 1994 )監督: ノーマン・ジュイソン C+
マリサ・トメイとロバート・ダウニー・Jrのロマコメ。さほどよく出来た話とも云えない映画だが、マリサ・トメイの魅力で魅せる。この人、しっかり認識してなかったんだけど好みだー。「フォー・ルームス」の4話目に出てきた人ね。ロバダウも若くて今と違う。

昼下がりの情事 ( 1957 )監督: ビリー・ワイルダー B
ビリー・ワイルダーのロマコメであるが、ヘプバーンの魅力が強烈過ぎて洒脱な脚本・演出なんだろうがやや薄まってみえる。BGMがかかるところでは画面に実際の楽団を登場させたりホテルの隣の部屋の犬のギャグ等、細部も楽しめるし飽きないのだが。クーパーは年取り過ぎた。

コンテイジョン ( 2011 )監督: スティーブン・ソダーバーグ B
冒頭からの淡々としたカット割りとクリフ・マルティネスによる音楽が着々と進行する事態を端的に表現しており静かな怖さを感じる。多彩なキャストを豪華に使い物語を多角的に描くがフィッシュバーンの存在が映画に重量感を与えているといっていいだろう。ラストの構成もいい。

DEAD OR ALIVE 犯罪者 ( 1999 )監督: 三池崇史 C-
ウワサには聞いていたが、なるほどなかなか面白いけど、話の内容は、まあ、ねえ。よく話題に上るラストはその後の三池作品に連綿と受け継がれてるね。そっちよりも冒頭の猥雑なカットバックによるオープニングにかなり惹き付けられた。

ヒューゴの不思議な発明 ( 2011 )監督: マーティン・スコセッシ A
おもちゃ好き、機械好き、手品好き、そして映画好き必見。つまりはギミック=からくりへの愛、そして人の作り上げたもの(人工物)に対する深い敬意に溢れた映画。その意味で観てるだけで泣ける。大好きな映画だ。ついでに本好き、駅好き、クロエ好きの人も必見。
3D字幕版で観た。その選択は間違ってなかったと思う。近隣では3D吹替版しかやってなかったので少し遠くまで足を伸ばした甲斐があった。非常に明快かつ効果的な3Dで、その真価を実感したのは『アバター』以来だなあ。使い方はかなり違うが。
シネマハスラー『ヒューゴの不思議な発明』回を聴く。概ね納得。ただ僕自身は全体の雰囲気と打ち出された内容に激しく共感したので、幾つかの欠陥はあまり気にならなかった。この監督には不向きな部分もあったろうが、この監督じゃなかったら成し得なかった部分もあるだろう。
僕自身もかなり遅れをとって観たわけだが、これから観るという人は、もしあの映画を観たことなければとりあえず簡単に観られるので観ておいた方がいいんじゃないかな。ネタバレにはならないと思うけど。それでも完全に白紙で観たい人はクリック禁止。→ http://bit.ly/GQAdgk

宇宙戦争 ( 2005 )監督: スティーヴン・スピルバーグ B+
スピルバーグ版。ジョージ・パル版のハイライトである小屋での攻防は残しつつ、より派手により執拗に、主人公視点に絞ってソリッドに恐怖を描く。テロ後の世情を如実に反映したテイストで諦めざるを得ないような侵略戦争からの逆転を描き、希望の灯りを点すラストはやや陳腐。

先月読んだ本 - 2012/03

いやあ、アップが遅れました〜。
近日中にここもそろそろなんとかしますー。

3月の読書メーター
読んだ本の数:5冊
読んだページ数:1809ページ
ナイス数:18ナイス

あんぽん 孫正義伝あんぽん 孫正義伝
孫正義の出自に焦点を当てて描いた評伝。しかしながら読後感は孫の一代記を読んだという感想は薄い。その父・三憲の印象の方が強烈で、また著者がその引力に引き寄せられているせいであろう。『東電OL~』を読んだ時に感じたのと同様に、この著者独特の頑なさに多少の違和感を感じつつも面白く読んだには読んだ。
読了日:03月04日 著者:佐野 眞一
戦後SF事件史---日本的想像力の70年 (河出ブックス)戦後SF事件史---日本的想像力の70年 (河出ブックス)
知ってること知らないこと含めて興味深くは読めたが、タイトルから想像できるような網羅的な内容とは言い難い。SF周辺部への目配せが「アングラ」や「幻想小説」等に偏っているのも著者の嗜好なのだろう。つまりはタイトルに対する違和感が大きい。
読了日:03月06日 著者:長山 靖生
野蛮なやつら (角川文庫)野蛮なやつら (角川文庫)
んー、このウィンズロウには個人的にはちょっとノレなかった。あんまし彼にはスタイリッシュな部分を求めてないかもしれない。初期作の方がどうしても好みだもの。
読了日:03月08日 著者:ドン・ウィンズロウ
今夜、すベてのバーで (講談社文庫)今夜、すベてのバーで (講談社文庫)
昔読んだつもりでいたが読んでなかった。アルコール依存症について割と真面目に描かれた作品。それでいてリーダビリティが高く、物語としても読ませる「らも印」。
読了日:03月16日 著者:中島 らも
映画長話 (真夜中BOOKS)映画長話 (真夜中BOOKS)
もっとスノッブな会話を予想していたが、そうでもなかった。あまり構えて読まなくても大丈夫w。
読了日:03月26日 著者:蓮實 重彦,黒沢 清,青山 真治

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