ロボット ( 2010 )監督: シャンカール A-
アクションもカースタントもCG処理もいちいちヤリすぎでもうむちゃくちゃでござりまするがなという感じなんだけどそこがツボにハマると心地よい。CGを贅沢にもっともくだらなく使っておりブラボー!ダンスシーンが思ったより少なかったのは短縮版のせい? 好きよ。
ちゃんと一部のヲタの人達にも届いているだろうか。そっち系が好きな人はチェックしといた方がいいと思うんだけど。観て怒ってもしらんけどさw。しかし『丘に、町が』がああした形で映像化されるとは(違。
ラジニカーントが六十過ぎのじいさんということは聞いていたが、ヒロインのアイシュワリヤー・ラーイも結構齢いってるのね。さすが美しいと見とれていたのだが小島のオジキのひとつ下なだけなのね。
悪玉ロボットとなる後半のラジニカーントはどうみても竹内力にしかみえない。よってCGによって大量に複製された竹内力が画面狭しと暴れまくる映画みたいなことになっている件。
名古屋でも完全版上映するかも、と思って今日観るの躊躇してたんだけど、観て良かったわー。楽しめた。インド映画とは相性がいいだろうとは思ってたんだけど。
ファミリー・ツリー ( 2011 )監督: アレクサンダー・ペイン A-
非常に感想が書きにくい映画だなあ、小津とかの映画を観た時のように。いや、かなり良かったんだけど。ゆったりじっくり家族の絆を始めとするテーマを描ききっており、ストーリーだけ追うと辛い話なのだが観終えた感想はまったくそうではないのは演出脚色のなせる業か。
カサブランカ ( 1942 )監督: マイケル・カーティス C+
映画から抜け出てきたようなハンフリー・ボガードがとにかくシブい、などというアホで腑抜けた感想しか出てこない程の消費し尽くされた人気作。まあでもバーグマンの行動原理にはいささか納得できんのだが、いかがなもんか。
DOCUMENTARY of AKB48 Show must go on 少女たちは傷つきながら、夢を見る ( 2012 )監督: 高橋栄樹 B
これは戦争映画だ。勝利、敗北、歓喜、怖れ、輝き、緊張、体力の限界、妬み、いたわり、好敵手、フォーメーション、混乱、汗、リーダビリティ、成功、失敗、涙、ヒロイズム、賭け、祈り、選ばれし者、脱落、裏方、慰問、瓦礫、そして復興。
......なんて呟いてたんだけど、「シネマハスラー」とかでもとっくに「戦争映画」というワード出てたんだね。ま、誰が観てもそう思うかも。
監督失格 ( 2011 )監督: 平野勝之 B-
そうなんだよなあ、すべてはやっぱ生きてる側の人間の問題なわけで。その思いが死んだ人間に投射されていろんな感慨を引き起こすわけで。て、なに当たり前のこと書いてるんだ、おれ。といささか動揺するほどラストはイカしてる。
この空の下 長岡花火物語 ( 2011 )監督: 大林宣彦 B+
久々の大林映画。冒頭「A MOVIE ESSAY」と出るように全編モノローグで覆い尽くされ、台詞を含めて余白ほぼなしで「声」が支配する映画。戦時中と18年前と現在が共存し同時に語られる実験的な手法だがこの監督の手にかかると馴染み深いものになる。
物語を語ることのみが主眼ではなく「長岡」が語られることに重きが置かれているため、思わせぶりなカットの伏線回収を期待するとはぐらかされることになる。オープンエンドが宣言されていることもあるし。その辺はモヤッとするが、大林オールスターズの顔ぶれを眺めるだけでも楽しい。
僕にとって映画とは大林宣彦のことである。一時期までは確実にそうだったことを「この空の花」を観て思い出した。近作は全然観ていなかったので観なければ! もちろん過去作の未見作も。
第七鉱区 ( 2011 )監督: キム・ジフン D+
ハ・ジウォンに個人的には魅力を感じるから最後まで見通せたものの、映画としてはいささか薄っぺらい。多用されるCGの質は高く画も綺麗なのだが、怪獣映画としてのサスペンスが持続せずクライマックスでもカタルシスが得られない。もっと面白くなりそうだがいろいろ勿体ない映画。
スター・ウォーズ エピソードⅣ 新たなる希望 ( 1977 )監督: ジョージ・ルーカス A+
通して観るのは随分久しぶり。つかジャバ・ザ・ハットを見て違和感を覚えたので「特別編」を観るの自体初めてかも。で、やっぱりメチャメチャ面白かったことに驚き。ラストなんて総毛立ったもの。「私の部品を使ってください」の台詞には毎回泣かされるし。
日本公開を待ちに待って観に行った世代なので、いろんなことを思い出すなあ。ご多分に漏れず雑誌等で仕入れた前情報で公開前の餓えを満たしていたわけだが、映像を初めてみたのはTVジョッキーの福田一郎氏のコーナーだったか、水曜イレブンだったか。
で、公開を待ちきれず野田元帥訳の角川刊のノベライズが出たと知り、近所の本屋に買いに行ったら置いてなくって「スター・ウォーズありませんか?」と店のオヤジに尋ねたら「スター坊主?」と返されたわけだが、その本屋のオヤジとはなにを隠そう大和田伸也&漠兄弟のお兄さんである。
というのは名古屋市名東区にあった大和田書店という大和田兄弟のお兄さんが経営してみえたお店の出来事。実は長じて僕はここでバイトすることになるのだが、ヴィレッジ・ヴァンガードの菊池社長はこのお兄さんと共に東京の出版社を脱サラして名古屋で共に本屋を始めたというミニ知識。
あ、スター・ウォーズから話が逸れたw。ちなみに当時の大和田書店では五大路子と岡江久美子を加えた大和田兄弟夫婦でのサイン会とかもやってたなあ、行かなかったけど。
インクレディブル・ハルク ( 2008 )監督: ルイ・レテリエ C+
割と地味めな展開でどうなるかと思ったが、ハルク登場シーンはなかなかのド迫力でいいんじゃないすかネ。でもやっぱドラマ部分がイマイチ....。ま、CGといえばそれまでなんだけど良く出来てる。これで『アベンジャーズ』対策は一通り終わったな。
十二人の怒れる男 ( 1957 )監督: シドニー・ルメット C-
筋立て自体は知っていたが、なんで「怒れる男」なのかがよく解っていなかった。なるほどねえ、みなさんエキサイトしてます。あまり集中できなかったこともあり、期待した感動は得られなかったかな。
スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲 ( 1980 )監督: アーヴィン・カーシュナー B+
一番好きだった作品の割に最初の劇場公開以来、一度観たかどうか。とにかく色々忘れてて新鮮だったが、例の対決シーンのマスターピースっぷりは半端ない。色彩、陰影、構図、どれをとっても完璧。と刷り込まれちゃってるのかもしれないが。
J・エドガー ( 2011 )監督: クリント・イーストウッド C-
イーストウッドの新作はまたも一筋縄ではいかない作品。なんとも感想を抱きにくい、面白いかと云われればいささか退屈ともいえるがけしてつまらなくはない。通常の伝記映画を期待すると微妙に裏切られるし時制がバラバラの語りはとても観にくいのだが無下に否定できない。
ダーティーハリー3 ( 1976 )監督: ジェームズ・ファーゴ C+
うーん、今回はいろんな意味で地味というかスケール感はない。新米女性刑事とのコンビネーションとか面白くなりそうな要素はそこかしこにありながら、割と平坦に流れてっちゃってる感ありで勿体ない。でもいかにも70'アメリカン的な空気感とか嫌いになれないけども。
リアル・スティール ( 2011 )監督: ショーン・レビ B+
イイね! ロボットフェチにはところどころ萌えポイントが。後半はまあ予想の範囲内の展開に落ち着くので、前半の方がゾクゾクしたかも。いやでも格闘ものの定石を外さずにちゃんと燃えさせてもくれるんだけどね。あと個人的にはATOMよりアンブッシュの方が好み。
ダークナイト(吹き替え) ( 2008 )監督: クリストファー・ノーラン B+
日曜洋画劇場にて公開時以来久々の体験。ちょっと違和感あるね。あまり吹き替えで観ないからだろうな。
ツリー・オブ・ライフ ( 2011 )監督: テレンス・マリック C+
細かいカットの積み重ねで成立しており、そのひとつひとつが大変美しい。内容そのものはいささか忍耐を要するものと云えるかもしれないが、映像自体は観ていて飽きることない。ジェシカ・チャステインがいい。メチャメチャいい。
サニー 永遠の仲間たち ( 2011 )監督: カン・ヒョンチョル A-
御多分に洩れず、ノックアウト気味。まず女優陣の魅力が半端ない。彼女たちを観ているだけで持って行かれる。少女時代と中年期のWキャストのそれぞれが全員完璧に近いのが奇跡。けしてハッピーな物語でもないのだが観ていて多幸感に包まれるのは何故?
結末近くの展開(そち達に褒美を使わす的な)には大いに不満が残るのだけど、僕がこの映画に惹かれたのはたぶん物語とか筋とかじゃないんで、そんなことはどうでもよいのかもしれない。シーンのひとつひとつが宝物のようでなんでもない箇所でも突如涙腺が緩んだりして。
そんな中でも個人的に一番高まったのは、ヘッドホンかけられーの「ラ・ブーム」のシーンと未来の自分へのビデオレターのシーンかな。理屈ではない感情が揺さぶられるような絶妙の演出にヤラれた。
観てて思ったのは、韓国の80年代って日本の60~80年代がギュッと圧縮されたような感じなのね。だから懐かしさというより奇妙にねじれた既視感のようなものを観ている間、覚え続けたのかな。
6月の読書メーター
読んだ本の数:5冊
読んだページ数:2126ページ
ナイス数:15ナイス
人間仮免中
これまでの経緯からして完全に怖いもの見たさで手に取った自分であったが、そんなことよりまずマンガとして優れている。そして自らの統合失調症に対する偏見がガラガラと崩れ去った。マトモであることと壊れていることの境目は一体どこにあるのか。あらゆる境界なるものが無意味に思えてくる一冊。
読了日:06月02日 著者:卯月 妙子
名人―志ん生、そして志ん朝 (文春文庫)
既発表の文を中心に再構成された本だったんだなあ。まあ、全集の出ない小林信彦にとってはこうした本も必要。本文のみならず、森卓也の解説(ではないけど)も秀逸。
読了日:06月11日 著者:小林 信彦
夜の国のクーパー
面白くないとは云わないが、ちょっと今の自分にはしっくりこない小説。すべてが上滑りしたままの読後感。『あるキング』とかは良かったんだけどなあ。
読了日:06月14日 著者:伊坂 幸太郎
ドゥームズデイ・ブック〈上〉 (ハヤカワ文庫SF)
読了日:06月25日 著者:コニー ウィリス
ドゥームズデイ・ブック〈下〉 (ハヤカワ文庫SF)
前半はちょっと引き延ばしすぎなんじゃないか、物語が動かないなあ、と不満に思いつつ読み進めていたのだが、後半過ぎた辺りからそこまで丁寧に紡いだ糸が見事な模様を描き出しているのに気づいた。ラストの巧さも光る。
読了日:06月30日 著者:コニー ウィリス
2012年6月の読書メーターまとめ詳細
読書メーター
アーティスト ( 2011 )監督: ミシェル・アザナビシウス B+
シンプルなストーリーにところどころギミックを入れてラストは粋なタップダンスでシメるという観ていて気持ち良い映画。登場人物の行動原理にやや疑問を抱かなくはない部分もあるがまあそれはおいといて、主演の二人も実に魅力的に映っておりサイレントでの画にハマっている。
捜査官X ( 2011 )監督: ピーター・チャン A
サイコミステリーぽい展開になるかと思いきや....、あれあれというウチに矢継ぎ早に繰り出されるあれもこれも。クライマックスもまだくるかまだくるかとお腹いっぱいに。僕は経験値低いけどずっとクンフー観てきた人にはご褒美のような映画なんじゃないかと。ビビる程おもろい。
邦題がちょっとアレだなあとは思うけども、前半の静も後半の動もどちらも吐くほど面白かった。ヘンでいびつでありながらキチンと抑えられるべきところが抑えられ、盛り上がるべきところが盛り上げられているのだもの。こういうワクワクするアクション、邦画でも観たいんですが。
チャーリーズ・エンジェル・フルスロットル ( 2003 )監督: マックG D
前作はかなりのお気に入りだったんで楽しみにしてたんだがなあ。オープニングのCG全開やり過ぎアクションでどっちらけ。もうマンガですよマンガ。空飛んでんじゃん、もう、生身で。物語も単純な筈なのに全然頭に入ってこないしこれはノレません。
バカヤロー! 私、怒ってます ( 1988 )監督: 渡辺えり子、中島哲也、原隆仁、堤幸彦 D
森田芳光総指揮のオムニバスシリーズ一作目。当時そこそこ流行ったよね。中島哲也、堤幸彦の劇場映画デビュー作が含まれているということで気になっていたのだが、双方ともあまり「らしく」ない作品で拍子抜け。相楽晴子の可愛さが唯一の救い。
続・激突!/カージャック ( 1974 )監督: スティーヴン・スピルバーグ B
本来『激突!』とは何の関連もないと聞いていたがまさにその通り。派手なカーアクションやサスペンスを楽しむ映画ではなく、ややおマヌケに見える延々と続くパトカーの隊列を愛でつつ『幸せの黄色いハンカチ』ばりの男女三人のロードムービーとして楽しむべき映画。
プラトーン ( 1986 )監督: オリヴァー・ストーン B+
もっと反戦映画的な地味な内容かと勝手に思っていたが、もうちょっと娯楽映画よりなのね。いやテーマ自体は重たいので単にドンパチを楽しむ映画ではないんだろうけど、無駄を省いたテンポのいい展開で緊張感のある戦闘や隊内部の対立を描く。主人公の内面はちょっと謎のままかな。
ソナチネ ( 1993 )監督: 北野武 C+
二年ぶりだが結構忘れてるもんだね。その中でも沖縄のあの道の風景は記憶に刻み込まれてるなあ。これはストーリーを追ってもしょうがない映画であると思うのだがどうか。個人的には緊張度が高すぎてやや肩が凝る印象。その分、相撲のシーンとかがやっぱ好きだなあ。
リング ( 1998 )監督: 中田秀夫 C+
初見。定評ある作品に対して失礼ながら、思ったより面白かったけども、そんなには面白くない。でもこれは、もうかなり消費され(ネタバレし)尽くしてしまった感がある作品に対してフェアじゃない感想かしら。後は竹内結子の幼顔に萌えるとか中谷美紀の出番の少なさに憤慨するとか。
WALL・E ( 2008 )監督: アンドリュー・スタントン B-
一回目の方が楽しめたかなあ。いや好きな作品なんですがもっとべらぼうに面白かった印象が。ま、地味だよね、こうやって落ち着いて観ると。キャラ達を愛おしく観賞しながらゆったりした気持ちで観るのが二回目以降の正しい見方かな。
らせん ( 1998 )監督: 飯田譲治 D-
ううむう。怖くないし面白いとも言い難い。でもつまらなくもない。佐藤浩市いいなあ、役得だなあ、という感想。中谷美紀はこっちで大活躍だが、活躍し損というか。
リング2 ( 1999 )監督: 中田秀夫 C
割と正しい続編のような気がするけども原作ファンにとっては...なんだろうか。『らせん』はなかったことにして楽しめた。怖い度も上。でも一番怖かったのは○○病院の患者の顔だったけども。不満といえば、井戸はともかく、ブラウン管からもやっぱやってほしかったなあ。
アビス 完全版 ( 1989 )監督: ジェームズ・キャメロン B-
完全版で171分。長すぎるのではと懸念していたが、たっぷり見応えがあった。物語のひとつの(文字通り)核となる核弾頭の扱いに違和感を感じるものの、SF的設定に頼り切らず適宜見せ場を作っているところに好感。その分、最後で一気にその部分が進行して呆気にとられるのだが。
奇跡 ( 1954 )監督: カール・ドライヤー C-
計算された流れるようなカット割り、輪郭のくっきりとした映像、無駄のない台詞、等々が印象的ではあるも、「信仰」とその具現化をテーマとした内容はシンプルだがやや近寄りがたい。その単調さは一方で非凡ではあるが、「最高の映画芸術」を実感するには一定の集中力が必要。
太陽がいっぱい ( 1960 )監督: ルネ・クレマン B-
前半のやや屈折した展開がいかにもフランス映画っぽくその構えで見続けたら途中から見慣れたサスペンス風になりやや気が抜けた。というか見慣れたサスペンス風にしてもその元祖に近い存在には違いなかろう。多くの模倣を先に消費してしまったからねえ。しかしドロンは美男。
スパイダーマン3 ( 2007 )監督: サム・ライミ C+
「赦し」を裏テーマに掲げたのであろうがあれこれヤリスギて「人はどれぐらいまでヒドイ事をしても許されるのか」大会になってしまっており、「物語のための物語」を細かく繋ぎ合わせた散漫な印象だ。娯楽編としては「2」のが上だが、今作にも妙な魅力があるのは認める。
ザ・ウォード/監禁病棟 ( 2011 )監督: ジョン・カーペンター B+
最新作ながらなんかカーペンターっぽくないねえ。物語を構成する要素がという意味で。でもシンプルで面白いのはカーペンター印。アンバー・ハードにノックアウトされたこともあり、かなり気にいった! 精神病院ものは独特な雰囲気があってじわじわくるねー。
狂った果実 ( 1956 )監督: 中平康 D
慎太郎原作・裕次郎主演の例のアレです。みんな早口で録音も悪いのかセリフが聞きとりにくいなあ。ラストのぐるぐるどかーん含めて僕にはあまり響かなかった映画。出てきた役者陣で一番印象に残ったのが岡田真澄だし。(ユージ似のw)
グリーン・ランタン ( 2011 )監督: マーティン・キャンベル C-
日本ではお馴染みでないキャラでいろいろ戸惑うことが多い。想像したものをなんでも具現化できるという何でもアリな能力を持つヒーローで、映像表現自体は面白いが、当然何でもアリな分、物語的な面白さは大幅に減じる。どこに焦点を置いて観れば良いのか判りにくい作品。
かもめ食堂 ( 2006 )監督: 荻上直子 C
何が起こるでもない物語だが不思議と飽きずに観られるのは小林・はいり・もたいのトリオの独特の存在感および演技に依るところも大きい。かなりしつこい反復演出ではあるがそれほどとも感じないのは異国の風情もあるのだろうが監督の力量ととっておく。嫌いじゃなかったよ。
博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか ( 1964 )監督: スタンリー・キューブリック C+
Dr.strangelove他セラーズの演技は十分楽しんだが、この手の風刺的笑いは個人的にはあまり得意なところではない。名作の誉れ高き本作ながらやや退屈してしまった。それでもタイトルバックやミサイル落下シーン、ラストの展開の流れは好きかな。
5月の読書メーター
読んだ本の数:3冊
読んだページ数:1299ページ
ナイス数:11ナイス
壊れかた指南 (文春文庫)
語り口、切り口。いまだにハッとさせられる。「耽読者の家」は読書マニア必読。もっともっと小説が読みたくなる。
読了日:05月08日 著者:筒井 康隆
グラン・ヴァカンス―廃園の天使〈1〉 (ハヤカワ文庫JA)
雰囲気も描写も好きなんだが全編のれたわけではなかった。ところどころのエピソードやイメージは気にいっており、いつか再読したいなあ、とは思っている。
読了日:05月21日 著者:飛 浩隆
ゴールデンボーイ―恐怖の四季 春夏編 (新潮文庫)
端役にも厚みを持たせる書き込みと、土壇場の迫真の描写はさすが。
読了日:05月31日 著者:スティーヴン キング,Stephen King,浅倉 久志
2012年5月の読書メーターまとめ詳細
読書メーター
監督名の横に記号をつけることにした。
個人的に観た後記している満足度(楽しめた度)である。あくまでその時の、ということで。
吸血鬼 ( 1932 )監督: カール・ドライヤー C+
茫洋としつつもクリアな夢幻空間。『雨月物語』にも通じる幻妖さを感じると共に、ところどころのカットがめっちゃ怖い。ドアの奥から降りてくる老人、何かに取り憑かれたような女性の表情、そして死神が持つような大きな鎌。物語は捉えにくいが無問題。
幕末太陽傳 ( 1957 )監督: 川島雄三 B
画面の隅々までコントロールされきった映画芸術。女郎屋のセットがとにかく素晴らしく、縦横無尽に走り回る左平次が活き活きしている。そしてなんというラストカット。あのキメ画は大スクリーンで確かに観たかったかもしれない。
しかし若き岡田眞澄はユージみたいだよなあ。
ドライヴ ( 2011 )監督: ニコラス・ウィンディング・レフン C++
評判良く期待して観たが、体調がイマイチだったこともあるかもだが、そんなにはノレなかった。80年代後期風サウンドを多用してドギツイ暴力シーンをイメージV的に魅せるノリを否定するわけではないがそれほど興味がないというか。でもそこかしこに気にいったシーンもあるのだが。
荒野の七人 ( 1960 )監督: ジョン・スタージェス C+
想像していたより圧倒的なユル・ブリンナーの主役感。菊千代の存在が若造役の勝四郎と吸収合併されてしまっているためトリックスターの不在が物語をいまひとつパッとしないものにしている。不抜けた恋愛沙汰で締めくくってる場合じゃないだろうと不満。アクションはまずまずだが。
サンセット大通り ( 1950 )監督: ビリー・ワイルダー B+
評判に違わぬ傑作。ザ・女優を今の目でみればカリカチュアライズしたかのように演じたグロリア・スワンソンの演技は彼女自身に則れば自然体だったのかもしれない。画面にピシリとはまる華やかさを醸し出している。シュトロハイムの重厚かつ存在感ある演技も見所。
男はつらいよ ( 1969 )監督: 山田洋次 C+
第一作をちゃんと観るのは初めてだろうな。既にしてフォーマットはほぼ完成。「けっこう毛だらけ」ほか有名なフレーズも出揃っており、寅さん世界を堪能できる。さくらの見合い相手が広川太一郎だったことに驚いたり、前田吟の若さに感心したりとあれこれ楽しめる。
しかし幼き頃は実は「寅さん映画」が嫌いであった。親に連れられて松竹の映画館に行ったりしたものだが、併映の55号やドリフの映画が目当てで寅さんになると途端に退屈してぐずったりしたものと思われる。ウェットな笑いが苦手だからと認識していたがこうしてみるとさほどウェットという訳でもない。
モテキ ( 2011 )監督: 大根仁 B++
無数の小ネタ満載のサブカルあるあるたっぷりに日常の細かな「リアル」感で物語の根幹にある「非リアル」を支えきっておりアッパレ。前半の軽快なテンポに比して終盤がややクドイかなあと思いつつも許容範囲。JGLトリビュートっぽいストリートダンスも決まってすっかり楽しめた。
惑星ソラリス ( 1972 )監督: アンドレイ・タルコフスキー C+
強烈な睡眠映画とのウワサに戦々恐々としていたが、意外と眠らず最後まで観ることができた。ひとつひとつのカットが長いし展開は超遅いが興味は持続するよ。自分にしては珍しく2度も読んだ原作が好きなせいかも。ハリー役も美しいし。ただし観終わったあと強烈な眠気がw。
プラネット・テラー in グラインドハウス ( 2007 )監督: ロバート・ロドリゲス C-
ロバ・ロドファンとしてはそれなりの期待を持って「とって置いた」作品なのだが、もうひとつといったところ。スプラッタ・ゾンビ・アクションという題材としては『フロム・ダスク....』に負けている。ギミックは面白いんだがもたついている。
秋刀魚の味 ( 1962 )監督: 小津安二郎 B
ザ・オトナの酒の飲み方を2時間たっぷり見せつけられる。そして礼節、たしなみ、人とのつきあい方。ドラマチックな展開なぞどこにもないのに終始退屈せず画面にクギづけになる。ドラマツルギーとはなんぞや、映画とはなんぞやと迫られるかのような佳品。
失われた週末 ( 1945 )監督: ビリー・ワイルダー B-
ビリー・ワイルダーの初期作品。アル中の作家の苦悩を描く。ハッとさせられる描写や作劇法に心を掴まれるが、後半ちょっとくどいかな。基本的に感情移入しづらい主人公の性格設定にも物語に飽きさせる要素があるかもしれない。ラストに至るほど残念な佳作。
ジョン・カーター ( 2012 )監督: アンドリュー・スタントン B+
冒頭、異世界風味バリバリの飛行船が飛び交うシーンでほぼ満足。白コングの迫力と白熱したチャンバラシーンにも目を見張った。脚色も悪くないとは思ったがもう一押し何か上乗せしてくれれば、と贅沢な思いも。それでもこれだけの映像を観せてくれれば文句はない。
「火星のプリンセス」の映画化、なんて昔のスターログとかの海外情報記事の隅っこにたまに本気度15%ぐらいの感じで良く載っていたような記憶が。それを思うだけでも感慨深いものが。ちなみに原作は幼き頃(といってもいいぐらい)、第一作のみ読んだハズ。
昼顔 ( 1967 )監督: ルイス・ブニュエル B
ストーリー自体は予測可能なある種オーソドックスな作りながら、ドヌーブ演じる主人公の夢想シーンがトーンを変えずに淡々と差し挟まれ、現実と地続きの非現実を静かに描き出し、やがて終盤それは現実を侵食していくのである。
ここでのカトリーヌ・ドヌーブは一見ちょっと小島慶子を彷彿とさせる。メイクのせいかな。異論は認める。
隠し砦の三悪人 ( 1958 )監督: 黒澤明 B
冒頭近くの超絶モブシーンに圧倒され、三船の刀振りかざしての馬術に魅了され、やっぱリアリズムって有無を言わさないものがあるなと実感。CGでは同様の感動は得られまい。今更ながらにSW ep4の祖型を追いつつ観たのも興味深かったが、もちろん単独で純粋に面白い。
4月の読書メーター
読んだ本の数:4冊
読んだページ数:1518ページ
ナイス数:8ナイス
ベスト・オブ・映画欠席裁判 (文春文庫)
個人的にまったく映画を観てなかった時期なので大変ベンキョーになる。ベスト・オブ~じゃなくて三冊全部文庫かしても良かったんじゃないかねえ。
読了日:04月04日 著者:町山 智浩,柳下 毅一郎
いま集合的無意識を、 (ハヤカワ文庫JA)
神林を読むなんて何年ぶり.....。読んでない時期の長編をちゃんと読みたくなった。
読了日:04月09日 著者:神林 長平
サイバラバード・デイズ (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)
ハマると面白いだろうな、と思わせるが体調不良だとなかなか難物。
読了日:04月25日 著者:イアン マクドナルド
後藤さんのこと (ハヤカワ文庫JA)
SFM掲載時に読んだ「銀河帝国~」が結構好きなんだよなあ。ネタ的ではあるけれど言葉の配列、選択、リズム感に、凡人にでも才能を十分感じ取れる。
読了日:04月29日 著者:円城塔
2012年4月の読書メーターまとめ詳細
読書メーター
お葬式 ( 1984 )監督: 伊丹十三 A
ウン十年ぶりの再見だが実におもしろい。切り取られているカットのひとつひとつがどれも興味深い。お葬式あるある映画のように当時喧伝され自分もそう思い込んでいた節があるが、そんな器の映画ではなかった。クセ者揃いの演技陣の中にチョイ役で黒沢清が顔を出すがすぐにわかった。
LOFT ( 2006 )監督: 黒沢清 C-
いやあ、難易度高いわ。ていうか難易度なのかこれって。どう観たっておもしろいだろ、これは、と言い切るにはまだまだ僕も修行が足りない。ひとつ踏み外せば何も響かない空虚な深淵がすぐそこに控えているのだ。ラストに爆笑すべきなのかどうかもわからぬままにそっと辺りを伺う。
ゴーストライター ( 2010 )監督: ロマン・ポランスキー B
じわりじわりと進行するサスペンス。余裕たっぷりの物語展開。人物と周囲をゆったり捉えた撮影。曇天中心の落ち着いた質感。どれをとっても一級品の風格。ラストの処理にも唸る。
戦国自衛隊 ( 1979 )監督: 斎藤光正 C+
とりあえずまあ何を置いても石川賢のマンガからそのまま抜け出してきたような相貌の千葉ちゃんがカッコ良すぎます。映画的にはそこかしこにツッコミどころ満載ではあるけれど、いささか長すぎるという点を除いては存分に楽しめた。夏八木と千葉のキャッキャウフフも堪能。
映画をキチンと観るのは初めての筈だが、かかってた曲はほとんど知ってるという不思議。
当時の「バラエティ」でさんざん撮影時の情報とか読んでたクセに肝心の映画自体は観てないというパターン。
チェンジリング ( 2008 )監督: クリント・イーストウッド B++
なんとも凄い映画だなあ。ほとんど前情報なしで観始めたのだが、全然予想と違う映画であった。ヒューマン・ドラマかと思ってたら、告発ものであり、サスペンス・ミステリーであり、ある種のホラーでもあり、捉え所がない映画と云えるのだが得も言われぬ凄みがあるという。
アンジェリーナ・ジョリーの顔を活かしきった映画でもある。画面の左半分に大写しにしてデカい眼からツーッと一筋の涙をこぼすカットなんて彼女じゃないと画にならない。
家族ゲーム ( 1983 )監督: 森田芳光 C+
やはりかなり特異な映画だとは思うが、今の僕にとってはそれほど引き込まれるものでもなく、やっぱ観るタイミングというのはあるなあ、と再認識。それでもラストの平穏さ/不穏さにはちょっとヤラれた。森田監督作品は代表作を全然観てないのでこれから少しずつ。
オンリー・ユー ( 1994 )監督: ノーマン・ジュイソン C+
マリサ・トメイとロバート・ダウニー・Jrのロマコメ。さほどよく出来た話とも云えない映画だが、マリサ・トメイの魅力で魅せる。この人、しっかり認識してなかったんだけど好みだー。「フォー・ルームス」の4話目に出てきた人ね。ロバダウも若くて今と違う。
昼下がりの情事 ( 1957 )監督: ビリー・ワイルダー B
ビリー・ワイルダーのロマコメであるが、ヘプバーンの魅力が強烈過ぎて洒脱な脚本・演出なんだろうがやや薄まってみえる。BGMがかかるところでは画面に実際の楽団を登場させたりホテルの隣の部屋の犬のギャグ等、細部も楽しめるし飽きないのだが。クーパーは年取り過ぎた。
コンテイジョン ( 2011 )監督: スティーブン・ソダーバーグ B
冒頭からの淡々としたカット割りとクリフ・マルティネスによる音楽が着々と進行する事態を端的に表現しており静かな怖さを感じる。多彩なキャストを豪華に使い物語を多角的に描くがフィッシュバーンの存在が映画に重量感を与えているといっていいだろう。ラストの構成もいい。
DEAD OR ALIVE 犯罪者 ( 1999 )監督: 三池崇史 C-
ウワサには聞いていたが、なるほどなかなか面白いけど、話の内容は、まあ、ねえ。よく話題に上るラストはその後の三池作品に連綿と受け継がれてるね。そっちよりも冒頭の猥雑なカットバックによるオープニングにかなり惹き付けられた。
ヒューゴの不思議な発明 ( 2011 )監督: マーティン・スコセッシ A
おもちゃ好き、機械好き、手品好き、そして映画好き必見。つまりはギミック=からくりへの愛、そして人の作り上げたもの(人工物)に対する深い敬意に溢れた映画。その意味で観てるだけで泣ける。大好きな映画だ。ついでに本好き、駅好き、クロエ好きの人も必見。
3D字幕版で観た。その選択は間違ってなかったと思う。近隣では3D吹替版しかやってなかったので少し遠くまで足を伸ばした甲斐があった。非常に明快かつ効果的な3Dで、その真価を実感したのは『アバター』以来だなあ。使い方はかなり違うが。
シネマハスラー『ヒューゴの不思議な発明』回を聴く。概ね納得。ただ僕自身は全体の雰囲気と打ち出された内容に激しく共感したので、幾つかの欠陥はあまり気にならなかった。この監督には不向きな部分もあったろうが、この監督じゃなかったら成し得なかった部分もあるだろう。
僕自身もかなり遅れをとって観たわけだが、これから観るという人は、もしあの映画を観たことなければとりあえず簡単に観られるので観ておいた方がいいんじゃないかな。ネタバレにはならないと思うけど。それでも完全に白紙で観たい人はクリック禁止。→ http://bit.ly/GQAdgk
宇宙戦争 ( 2005 )監督: スティーヴン・スピルバーグ B+
スピルバーグ版。ジョージ・パル版のハイライトである小屋での攻防は残しつつ、より派手により執拗に、主人公視点に絞ってソリッドに恐怖を描く。テロ後の世情を如実に反映したテイストで諦めざるを得ないような侵略戦争からの逆転を描き、希望の灯りを点すラストはやや陳腐。
3月の読書メーター
読んだ本の数:5冊
読んだページ数:1809ページ
ナイス数:18ナイス
あんぽん 孫正義伝
孫正義の出自に焦点を当てて描いた評伝。しかしながら読後感は孫の一代記を読んだという感想は薄い。その父・三憲の印象の方が強烈で、また著者がその引力に引き寄せられているせいであろう。『東電OL~』を読んだ時に感じたのと同様に、この著者独特の頑なさに多少の違和感を感じつつも面白く読んだには読んだ。
読了日:03月04日 著者:佐野 眞一
戦後SF事件史---日本的想像力の70年 (河出ブックス)
知ってること知らないこと含めて興味深くは読めたが、タイトルから想像できるような網羅的な内容とは言い難い。SF周辺部への目配せが「アングラ」や「幻想小説」等に偏っているのも著者の嗜好なのだろう。つまりはタイトルに対する違和感が大きい。
読了日:03月06日 著者:長山 靖生
野蛮なやつら (角川文庫)
んー、このウィンズロウには個人的にはちょっとノレなかった。あんまし彼にはスタイリッシュな部分を求めてないかもしれない。初期作の方がどうしても好みだもの。
読了日:03月08日 著者:ドン・ウィンズロウ
今夜、すベてのバーで (講談社文庫)
昔読んだつもりでいたが読んでなかった。アルコール依存症について割と真面目に描かれた作品。それでいてリーダビリティが高く、物語としても読ませる「らも印」。
読了日:03月16日 著者:中島 らも
映画長話 (真夜中BOOKS)
もっとスノッブな会話を予想していたが、そうでもなかった。あまり構えて読まなくても大丈夫w。
読了日:03月26日 著者:蓮實 重彦,黒沢 清,青山 真治
2012年3月の読書メーターまとめ詳細
読書メーター
2月の読書メーター
読んだ本の数:5冊
読んだページ数:2091ページ
ナイス数:17ナイス
都市と都市 (ハヤカワ文庫SF)
設定は大変興味深く、あれこれ連想するのも楽しかったが、肝心のストーリーにノレなかったので(文章にも)、読み進めるのに苦労した。登場人物表はつけて欲しいなり。
読了日:02月02日 著者:チャイナ・ミエヴィル
道化師の蝶
表題作は、書くという行為に関する考察を織り込んだメタフィクションであり確かに難解かもしれないが、従来のようにガチガチのハードではなくソフトな印象。 構築するそばから崩れゆく言葉-意味と飛び回る蝶のイメージを重ねた書き紡ぐことについての具象化は、氏の小説を読む時にいつも読み手である私が感じるイメージでもある。文章を読み進む先からどんどん意味-言葉が逃げていかれるような。それが今回説明されたようで実に面白かった。「松ノ枝の記」もさらに良い。読み解くべき要素は諸々含まれているが、ただ単に読み進めるのみでも面白い
読了日:02月06日 著者:円城 塔
警備員日記
警備の仕事を活き活きと、そしてそれにまつわる人間模様を綿密に描き上げた佳作。著者の客観的なスタンスは、その実、中に居た人のリアリティに裏打ちされており、その抑制された筆致が警備の仕事に就く仲間達への軽蔑と愛情の相反する感情を浮き彫りにさせている。
読了日:02月10日 著者:手塚正己
木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか
意図的にかなり時間をかけてちまちま読んだのだけども興味が持続し、かつ最後まで面白かった。正直、個人的には明るい分野ではなく、知識として断片的にしか知らなかったことも多いが、それらのことも客観的に角度を変えて詳述されているので、気後れすることなく読み進めることができる。ラストは想像以上に、いや、なかなかのもの。
読了日:02月19日 著者:増田 俊也
第六ポンプ (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)
やっぱり注目株だね。間違いのない作品集。個人的にはねじまき世界ものはやや苦手なんだけど、あの世界観が好きな人は存分に楽しめる作品が2篇。僕が良かったのは、表題作、「やわらかく」、「ポップ隊」あたりかなあ。まあ全般的に楽しめた。
読了日:02月25日 著者:パオロ・バチガルピ
2012年2月の読書メーターまとめ詳細
読書メーター
1月の読書メーター
読んだ本の数:3冊
読んだページ数:811ページ
ナイス数:7ナイス
浅草芸人 ~エノケン、ロッパ、欽ちゃん、たけし、浅草演芸150年史~ (マイナビ新書)
巻末の参考文献一覧にあるような本をぽつぽつと読んで得てきた断片的な知識をおさらいするつもりで読み始めたのだが、新書にあるまじきw濃密な内容で、単にそれらの文献の内容を寄せ集めただけではなく150年に渡る大きなうねりを再構築して提示する手腕に感心。だから読んでて面白い。著者のまだ書き足りないという気持ちが伝わってくる良書。
読了日:01月13日 著者:中山 涙
レヴィナスと愛の現象学 (文春文庫)
レヴィナスを擁護する弁護士ウチダという趣き。なかなかわかりやすい。
読了日:01月18日 著者:内田 樹
共喰い
過去作はしばらく前に読んでいたが、久々に表題作を読んで、ありゃ、こんなオーソドックスだったっけ、田中慎弥って、とまずは思った。芥川賞を同時受賞した円城作品とは対照的に明確にあらすじが抽出できる話である。描写は濃密で会話が方言のせいもあってややねっとり。作中でてくる《子どもたち》がファンタジックな存在に思えるのはワザとなのか僕がそうと読めただけか。「第三紀層の魚」の方は地味な話だなあ、と読み進めつつもそこはかとなく良い読後感。
読了日:01月29日 著者:田中 慎弥
2012年1月の読書メーターまとめ詳細
読書メーター
と書いたものの、ここを復活させたはいいがなかなか長い文章を書く気分になれずに、相変わらずTwitterに垂れ流すのみの毎日。
DVDを観ては寝落ちするし、本も途中挫折が多い。
読みかけの本が何冊も出来るばかりで、先月読了は4冊というていたらく。
いやあ、今年こそはもろもろエンジンかけていきたいものです。
12月の読書メーター
読んだ本の数:4冊
読んだページ数:1185ページ
ナイス数:14ナイス
物語論 (講談社現代新書)
作家・漫画家・クリエイターの創作ノートとして興味深い。しかし橋本治の言葉にはいつも様々なヒントが隠されているなあ。
読了日:12月02日 著者:木村 俊介
人生作法入門 (河出文庫)
タイトルがいかにもナンだが、別に人生論の本ではなく、山口瞳の単行本未収録エッセイを収めた本。本にまとまった比較的手に入り易い山口瞳のエッセイをあらかた読んでしまった自分には有り難いが、寄せ集め感はあるなあ。というより、なぜ初出の記載が一切ないのかそれが大いに不満。河出文庫たるものなにをやっておるのか。
読了日:12月03日 著者:山口 瞳
キングを探せ (特別書き下ろし)
堪能した! ずいぶんシンプルな作品に感じるが満足度が高い。熟練の語り口とかなり整理された構成によるものであろう。パターン化しがちな構成に溺れずに謎への求心力を保ちつつ必要なことのみを描ききる潔さにも好感を持った。
読了日:12月09日 著者:法月 綸太郎
殺人者の空 (山野浩一傑作選Ⅱ) (創元SF文庫)
マイオールタイムベスト短編の「メシメリ街道」を久しぶりに再読。恐れていたとおり以前ほどの衝撃は感じない。でもやはり好きな作品。この集はかなり観念的な作品が多く、そうしたものは少し苦手かな。「開放時間」とかそっちの方が好き。
読了日:12月14日 著者:山野 浩一
2011年12月の読書メーターまとめ詳細
読書メーター
11月の読書メーター
読んだ本の数:5冊
読んだページ数:1495ページ
ナイス数:21ナイス
私のいない高校
物語らしい物語のないこの小説に主人公たる「私」はいないのかもしれないが、作家たる「私」は強く存在していることが感じとられた。退屈といえば退屈なのだが面白いといえば面白い。ヘンな作家だなあ、やっぱりw。
読了日:11月10日 著者:青木 淳悟
ふしぎなキリスト教 (講談社現代新書)
これまでに何度もキリスト教について「お勉強」しようと思って挫折してきたが、この本を読んで「お勉強」でない形で知りたかったことを知ることができた。特に第一部において宗教とはなにかという永年の疑問についても考えるヒントを多々得られた。読んで面白い。
読了日:11月16日 著者:橋爪 大三郎,大澤 真幸
鳥はいまどこを飛ぶか (山野浩一傑作選Ⅰ) (創元SF文庫)
「赤い貨物列車」「カルプ爆撃隊」「首狩り」がマイベスト3かな。「X電車」もいいけどね。
読了日:11月23日 著者:山野 浩一
量子力学の哲学――非実在性・非局所性・粒子と波の二重性 (講談社現代新書)
物理オンチが読んでも大丈夫かなあ、とおそるおそる読んでみたが、割にスラスラ読める!......と思っていたけど、やはり途中でググッと難しくなる。やはり科学哲学はハードルが高いなあ。
読了日:11月30日 著者:森田 邦久
贖罪 (ミステリ・フロンティア)
手記&告白で構成していく著者得意技はさすがお見事。全体としてはちょっとどうかと思う部分もあるけど、個々の話はよくできていて面白いし、確かに連ドラ向きだわ。
読了日:11月30日 著者:湊 かなえ
2011年11月の読書メーターまとめ詳細
読書メーター
10月の読書メーター
読んだ本の数:9冊
読んだページ数:2565ページ
ナイス数:16ナイス
プランク・ダイヴ (ハヤカワ文庫SF)
冒頭の2編は余裕で楽しめたが、どうやら「暗黒整数」で調子を崩されたらしく、後はガタガタ(いや作品がではなく、こちらが)。凄いんだろうなあ、と指を咥えつつ、文字の羅列を目で追っていくのみの状態に。出直してまいります。
読了日:10月04日 著者:グレッグ・イーガン
探偵はバーにいる (ハヤカワ文庫JA)
どうにもノレなかったなあ、最後まで。とりあえず次作まで評価はお預け。
読了日:10月06日 著者:東 直己
なぜ日本人は世界の中で死刑を是とするのか―変わりゆく死刑基準と国民感情 (幻冬舎新書)
死刑廃止論についてこれまでしっかり考えてこなかったのでその考察の一助とするために。単純な気分的には死刑廃止反対であったが、死刑を廃止して終身刑を確立すべしということなら少しわからなくもない。というかそもそも無期懲役が終身刑でないという認識もこの本を読むまではっきり持ってなかったわけだが。
読了日:10月07日 著者:森 炎
日本橋バビロン (文春文庫)
後半、戦後になって親戚関係で少しゴタゴタがあった時の筆致が『夢の砦』を思い起こさせ、ああ、小林信彦の小説を読んでいる、という気分に久々になった。ある種の怨恨をベースにした描写をする時、この作者の筆は精気を帯びる。
読了日:10月13日 著者:小林 信彦
ヤクザと日本―近代の無頼 (ちくま新書)
ヤクザの是非を云々する前にその成立事情を知る上では非常に役立つ概説書ではないだろうか。HOTな話題の芸能との関係もしっかり書かれているし、切っても切れないと言われるその関係がどうして不要とされるようになったかもきちんと書かれている。
読了日:10月15日 著者:宮崎 学
日本ラーメン秘史 (日経プレミアシリーズ)
前作の『無敵のラーメン論』から約10年。ラーメンの各構成要素を解説しつつ多くの店を紹介し、各系統の成り立ちや現状の概況を語り、後半日本全国のご当地ラーメンをおさらいするという内容はほぼ踏襲されている。が、より広く深く書き込まれているという印象を受けた。やはりこの10年でラーメンを取り巻く状況はさらに大きく変わったという認識を新たにせざるを得ない。斯界の第一人者たる著者のラーメンシーンに対する広範な目配りとその該博な知識・経験はさすがと感じ入る。マニアにも一般にも薦められる好著。
読了日:10月25日 著者:大崎 裕史
ポストモダン建築巡礼
ポストモダンは難しいなあw。と建築門外漢は思うわけだが、この本の楽しさは揺るがない。文章、イラスト、写真のバランスと互いの補完関係が絶妙で飽きない。著者の建築に対する愛情と他分野に関する知識の融合もこの本の重要な魅力だ。ちょこっとずつ大切にゆっくりと読み進めたい、そんな一冊である。
読了日:10月26日 著者:磯 達雄
ラーメンと愛国 (講談社現代新書)
ラーメン本ではなく、ラーメンを軸とした社会論。とはいえ、思った以上にラーメン事情のことをしっかり踏まえて書かれているので、ラーメンファンが読んでもシラケることなく読める。ラーメンをとりまく情勢を少し外から冷静に見つつ興味深い指摘もちらほら。
読了日:10月28日 著者:速水 健朗
カササギたちの四季
軽快な連作短編集だが、やや物足りないかなあ。著者に期待するものとしては。ひとつひとつの推理のひっくり返しようがやや弱い。繰り返しパターンの連作形式は良いにしても全部を繋いでひっくり返す何かを期待してしまった。
読了日:10月29日 著者:道尾秀介
2011年10月の読書メーターまとめ詳細
読書メーター
9月の読書メーター
読んだ本の数:7冊
読んだページ数:2334ページ
ナイス数:19ナイス
冬の神話 (1966年)
四半世紀の積ん読消化。読んだのは角川文庫版だから小林信彦名義になってる。小林の重要なモチーフのひとつである疎開体験ものはこれまで読み残してきた。「流される」を読むために消化していこうと一念発起。綺麗事でまとめていないながらもリーダビリティが高く、重い体験もさらりと読めてしまうところが持ち味であり、また軽く見られてしまうところなのだろう。
読了日:09月01日 著者:中原 弓彦
タイタンの妖女 (ハヤカワ文庫SF)
ウン十年振りの再読。読み終わって当時もなんだかぼんやりした印象だったなあ、と思い出す。ヴォネガットはその後好きな作家となったがこの作品に対する思い入れは薄い。基本設定および雰囲気は結構好みなんだけどなあ。
読了日:09月09日 著者:カート・ヴォネガット・ジュニア
東京少年 (新潮文庫)
第一部の集団疎開編に関しては『冬の神話』に比べ素っ気ない印象。今作も自伝そのものではないと云うが、前作が実体験を文学的に昇華させようと意図していただろうことに対し、そこに主眼はないようだ。第二部から結末に進むにつれ、著者の東京に対する執着の根本が解き明かされたようでなるほど腑に落ちる。
読了日:09月14日 著者:小林 信彦
レヴィナスを読む: 〈異常な日常〉の思想 (ちくま学芸文庫)
出だし取っつき易く快調に読み進めていたのだが、博覧的に各種思想が引き合いに出され、当方がほとんど初心者であるレヴィナスそのものを見失い始めた段階から俄然難解な印象に。後半はとても「読めた」とは云えない状態だなあ。
読了日:09月19日 著者:合田 正人
探偵術マニュアル (創元推理文庫)
導入部から前半にかけては最高に好みで、文章表現ひとつとっても絶賛したい程だったのに、中盤になり仕掛けが見え始めたあたりからどうにも好みから外れて来はじめ最終的には読み続けるのが苦痛になるまでになってしまったのは自分としてもなんとも納得ができない。あの映画といい、例の仕掛けと個人的にはいまひとつ相性が悪いのかもしれないなあ。
読了日:09月22日 著者:ジェデダイア・ベリー
映画×東京とっておき雑学ノート―本音を申せば〈4〉 (文春文庫)
週刊連載で大体ざくっとチェックして、単行本はスルー。四年後に出る文庫でじっくり追いかけるというのが僕のこのコラムとのつきあい方。可能な限り続けて欲しい。
読了日:09月25日 著者:小林 信彦
ラジオの魂
語り下ろし。キラ☆キラのポッドキャストの大半をフォローし、ツィッターのつぶやきを追い、雑誌インタビュー等の記事にもこまめに目を通している自分にとっては目新しい話は特にないものの、現在に至る小島慶子を簡潔に知る上でそのパンチラインがしっかりわかるコンパクトにまとまった本。
読了日:09月26日 著者:小島 慶子
2011年9月の読書メーターまとめ詳細
読書メーター
しかし自宅の近所の支店も突如なくなったし、四日市方面に行った時は変なロゴの店舗(日清どん兵衛のパクリというかそのまんまの)を見かけたし、「どんどん庵」にいったい何があった?
「どんどん庵」とは「サガミチェーン」傘下の株式会社ディーディーエーが名古屋市を中心に愛三岐東海三県下に約70店舗を展開するセルフうどんチェーンである。
wikiを見ると会社の設立自体は1997年と最近だが、実質その歴史は古く、僕自身の記憶としては約40年前に今池ユニー内の店舗で食べたのが最初だ。
直営のほかFC店舗の比率がかなり高いようで、各店独自に出汁をとり、一見どこも同じようにみえても天ぷらメニューや一部サービスに店舗毎の特色もある。
今回の事態はいわゆる「FC抜け(フランチャイズの足抜け)」なのかなあ、と想像するわけだが、ファンとしては本体の安泰を望むばかりである。
かように「どんどん庵」のことになると少し熱くなるワタシであることは、古くからのこのブログの読者やTwitterのフォロワーの方なら先刻御承知であろう。
年に数回行われる「どんどん祭り」(うどん一人前が100円になったり、金券500円分等が配られるセール)のたびに騒いでいるアレのことである。
わーわー言ってる割りにはあまり共感を得られていないようなのだが、僕が「どんどん庵」ファンであるのには理由がある。
いわゆる味噌煮込みとかカレーうどんとかではない、昔からの大衆的な「名古屋のうどん」の味がここで味わえるからだ。
「どんどん庵」は立ち食いそば屋がほとんど存在しない名古屋においてそれに変わる存在、つまり名古屋における「富士そば」的な位置にあるといえよう。
このことはすなわち名古屋がそば文化ではなくうどん文化圏であることを如実に示している。
今でこそ当地にも美味しい蕎麦専門店が何軒も存在するが、昔から大衆的なそばはそば屋で食べるものではなく、うどん屋でサブメニュー的にあるのを食べるというのが一般的であったように思う。
公設市場には玉うどん(うどん玉)といって茹であげたうどんを一人前ずつまとめてあるものをガラス蓋のついた木箱に入れてずらっと並べたものを売っており、きしめん、そばも確かにその横に並べられていた(つまり、そばも茹でられたものが玉になっている)があくまでサブ扱い。
このうどん玉、お湯で少し温めて、一緒に売っているおつゆに入れればすぐに食べられるので、お昼の食卓などには良く出されたものである。天ぷらも一緒に売っているので面倒がない。
「どんどん庵」の仕組みもほぼその市場のうどんのそれを踏襲しているといってよい。
店に入るとまず、丼に入ったうどん、きしめん、そば、小盛、大盛等が棚に並べられており、好きな物を各自取る。
次にその麺をテボ(手持ちのついた深い金ざる)に入れ、湯が煮たっている麺茹で機で十数秒温める。
しっかり湯切りをして温まってほぐれた麺を丼に戻し、レジの横に並べられている天ぷら他のトッピング類やおにぎり、飲み物等のサイドメニューをお好みでトレイに載せる。
その時点でレジで支払いを済ませ、その先にある出汁つゆ供給機の蛇口をひねり、好きなだけつゆを入れ、ねぎを加え、お茶や水をとって好きな席に着席する。
そして卓上の一味を振りかけておもむろに頂き、食べ終わったらフードコート同様に食器返却口に自分で戻すというのがこのチェーンのスタイル「セルフシステム」である。
先に40年前に食べたのが初めてと書いたが、子供心にその「セルフシステム」がおもしろく、また市場で買って常に家で親しんでいるうどんの味に近いので、自分には「どんどん庵」は刷り込まれてしまっている存在といっても良い。
讃岐うどんのようにコシが強い麺ではなく、今でこそ改善されているものの悪く言えば昔は団子に近いような、いわゆるソフト麺のような口辺りの柔らかい麺に、ムロアジや鯖からとったと思われる雑味のある出汁に濃いめの醤油で成り立っているつゆの組み合わせは、特にこの地方以外の方には違和感があるようだ。
そういえば、他地方出身のコワモテの某ラーメン店オーナーがあからさまに馬鹿にしていたのを思い出す。「あんな麺」に「あんなつゆ」扱いであった。
でも、その意見はその意見でわかるのだ。
歯をはねかえすような強い弾力の麺といりこ出汁昆布つゆのうどんに馴染んだ舌にはまったく合わないであろう。
文化の違い、である。
しかしそれも崩れてきている、と思う。
玉うどんを対面で売る街の市場はほとんどなくなり、スーパーで売られているうどんの主流は讃岐の冷凍うどんではないだろうか。
確かにあれは保存も利き、扱いも便利だし美味い。
また飲食店も多様化し、先に挙げた複数の讃岐うどんチェーンの進出や関西風うどんなどが手軽に食べられる。
ひょっとしたらいわゆる「名古屋風」のうどんを食べる機会より多くなっているかもしれない。
大衆店ではあるものの「どんどん庵」は、セルフうどん店として決して安価ではない。
さぬきうどんのセルフには一杯100円の店がゴロゴロしているが、「どんどん庵」では一杯280円である。てんぷらひとつ載せておにぎりひとつでもつければ500円に手が届く。無料トッピングの数も少ない(以前は花かつおも無料だったよなあ)。
そのような状況は会社も認識しているのだろう。「どんどん祭り」の開催は以前より頻繁に行われているように感じるし、従来値段が少し高かったころ(冷)を温と同じ値段に下げたり、つゆに関西風の白出汁を加え、従来の赤と選択できるようにしたり、季節毎のメニューを投入したり、名古屋名物のあんかけパスタを提供できる店舗を作ったりと、小さな改革もちらほら見られる。
ファンとしては、とにかく頑張ってくれ、としか云いようがない。
その僕にしたって「丸亀製麺」等讃岐系チェーンの方が総合すれば魅力的にみえる時も多いのだ。
値段を下げメニューを絞った「あかつきうどん」が「どんどん庵」が変身していく姿のひとつの手本となるのか、そうではないのか、しばらく静観してみようと思う。