5編からなる短編集。
最初の4編は、男が家からふいにいなくなり、時を経てふらりと戻ってくるという情景を共通して描く。
理由は明確に説明されないが、小説としてきちんとそこに描かれている。
「yom yom」なんかや他の中間小説誌とかで割とありがちな類の話ともいえるんだけど、橋本治が書くと、やはり別物になる。
エッジがキンキンに立って、心に痛いほどだ。
最初の「暮色」が鮮やかで、個人的には好き。
残りの一編は、ゲイとゲイを明確に拒まないノンケの男とその間で空回りする女の話。
「好き」ということのそれぞれにおける意味の差を突きつけられて、我々は何を思えばいいのだろう。
孤独、を強く感じる、まさに「夜」な話。