『ダークナイト』 監督:クリストファー・ノーラン

このところこまめに試写会の応募をしているのだが、結構当たる。
どうだろう、率としては5割近いんじゃないかな。
ただ、なんだかんだで実際に行けていない。
『バンテージポイント』とか『ミスト』とか、割に評価が高かった作品を見逃していて、後で惜しい思いをしている。
惜しい、といえば「押井」守監督の新作『スカイ・クロラ』の試写も当たったが、結局人に譲った。監督の舞台挨拶付きだったようだけど。

バットマンの新作『ダークナイト』の当選ハガキが届いていた時は、応募を忘れていただけに余計に嬉しかった。
前作の『バットマン・ビギンズ』は珍しくDVDで見ていて気に入っていた。
あの路線の第二作と聞いてそれなりの期待感もあったし、TVスポットで流れる映像もよさげだったので、当日を楽しみにしていた。

試写会場は東別院ホール。
不勉強にしてここの存在を知らなかった。
場所的には、会社から自転車で10分かからないので、定時後、仕事を切り上げて駆けつける。
要はお寺の講堂ってことね。
キャパはそんなに大きくないし、舞台もボロボロ。
座席も備え付けのものでなく、パイプ椅子に毛の生えたような代物。
普通の映画館でさえ、いつも途中で尻が痛くなってくるというのに、こんなもので二時間半近い今回の上映時間を乗り切れるのだろうか。

そう。この映画に対する唯一の不安がその上映時間。
僕は基本的に長時間の映画は苦手なのである。
で、まあ結論から云うと、その152分の上映時間はちっとも長いと感じなかった。
そればかりか、ほとんど尻も痛くならなかったというのはどういうわけか。
おそらく、上映中落ち着く暇もなく、ずっと前のめり気味に画面に見入っていたせいかもしれない。

というわけで、『ダークナイト』は見て損はない、ではなく、見ないと損すると思わせる傑作であった。
このところのハリウッド映画を見慣れていない僕の感想なので、幾分差っ引いて捉えてもらっても構わないが、画面構成、展開、テーマ、そしてそれぞれの処理方法、キャスティング、演技、どれをとっても見事で、ラストでスタッフロールが出た瞬間、思わずため息がでるほどだ。
場面転換が早く、いささか説明不足に感じる部分もあって、筋というより背景を追い切れないもどかしさも若干感じたが、それはどちらかというと観る側の方の問題かもしれない。
緊迫した場面とそうでない場面のリズムの良い細かな転換が、いっさい中だるみのない画面を作っており、長時間の上映時間をまったく飽きさせることがなかった。

誰もが認めるであろうヒース・レジャーの演技はもちろんのこと、個人的にはトゥー・フェイスのアーロン・エッカートの抑え気味の演技が、作品の厚みを出すのに貢献していると思った。
豹変、ではないところがリアル、というか。

他にも、バットポッドがカッコ良すぎるゼとか、いろいろ気に入った部分はあるのだがこの辺で。
もちろんここには、僕の好きだった昔のバットマンのイメージ、少しオマヌケな雰囲気は微塵もないのだが、その分、ダークでスタイリッシュな特性が増幅している。
単純な勧善懲悪ではないので、見る人間によっては、ある種の「重たさ」を感じる程に疲れてしまうかもしれない。
個人的には、それでももう一度劇場で見たいと思わせる程の映画だった。

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Comments [2]

> 『バンテージポイント』とか『ミスト』とか、割に評価が
> 高かった作品を見逃していて、後で惜しい思いをしている。
> 惜しい、といえば「押井」守監督の新作『スカイ・クロラ』
> の試写も当たったが、結局人に譲った。監督の舞台挨拶付き
> だったようだけど。

きみ、もったいないことするね。
オレはとうとう「ミスト」を見のがしちゃったよ。
そんなに当たるなら応募しようかなあ。

これが結構当たるんですよ、ホント。
ハガキとか出すほどマメな性格ではないんで、ネット応募オンリーですが。
名古屋だと、下みたいな便利なところがありまして重宝しております。
http://www.nagoyanavi.jp/movie/

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