
殊能将之入魂の編纂によるデイヴィッドスン・アンソロジーが遂に出た。
まさに「奇想」コレクションにふさわしい作品集とはこれのこと。
独特の語り口で独特な世界が語られるので、ひとつ掛け違うとなかなか入り込めないところもある。
うまく入り込めると、思わずニヤニヤしてしまったり、異端の構築振りに感心してしまったり。
ざっと読んで気に入った作品は「ゴーレム」「さあ、みんなで眠ろう」「眺めのいい静かな部屋」「パシャルーニー大尉」とかかなあ。
ちょっとしんみりした話が好みという結果になってるかも。
面白かったけど、一読してピンと来ない作品もあったし、殊能先生の解題やサイトでの紹介の方が興味深かったかも、というのは内緒。
慌てて読まず、ゆったり楽しみたい一冊。
本のコト 一覧
『どんがらがん』アヴラム・デイヴィッドスン[奇想コレクション]
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- SF
『女王様と私』歌野晶午
- 本のコト
- ミステリ

いやなかなかの佳作。
装丁とかひっくるめて気に入りました。
内容をほとんど説明できない話なのだけれども、僕はミステリとあまり意識せずに読んだ。どういう話か知りたい方は公式ページ参照のこと。
『葉桜の季節に...』も読んで大変面白かったんだけど、もう内容ほとんど覚えてないんだよね。でもこの『女王様と私』は、しばらく忘れないと思う。多分。
仕掛けは『葉桜』同様、しっかりたっぷり盛り込まれているのだけれど、騙されないぞ、とか、見破ってやる、とか張り切って読み込まずに、流されるままに読んでいった方が幸福かも。
あっと驚くことを期待するより、どう話が進むのか、どういった着地を見せるのか、そういった興味で読ませるので、それを純粋に楽しんだほうがよい。
若干、中ダレするんだけど、前半とラストあたりはぐいぐい。
確かにいろんな意味で万人に勧めにくいけど、ある一定の層の人にはオススメ。
『博士の愛した数式』小川洋子
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- 日本文学
『先生はえらい』内田 樹
- 本のコト
- ノンフィクション

しばらく前に友人から「最近、新書読んでるようだね。新書レベルの話じゃないけど」と太鼓判付きで推薦された本。
教育論かなと思わせるタイトルだが、コミュニケーション論的な内容が中心となっている。
そして、『「自分の言いたいことを、きちんとことばにする」という条件が必ずしもコミュニケーションにとって本質的なことではない』ということを軸に、師と弟子の構造関係が語られる。
いい先生ってのは、それ自体として存在するものではなく、学ぶ側の主体性によって機能させられるものであるってことらしい。なるほど。
最終的には教育論に帰結する、というかここから教育論は始まるのだな、多分。
ウダウダ書いてますが、以上の事がとっても読みやすく書かれてる。
でも『コミュニケーションはつねに誤解の余地を確保するように構造化されてる』ので、わかりやすいって言っちゃダメですか。
「わかっちゃダメ」by欽ちゃん って感じ。
良本。
『ディアスポラ』グレッグ・イーガン
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- SF

SFを最近ほとんど読んでいないので青背を買うのは、テッド・チャン『あなたの人生の物語』以来だな。
そういう意味では、久々にこれは読んでおかにゃならんなと思わせた作品。
イーガンは最初に出た『宇宙消失』を読んだきり。あまりしっくりこなかった記憶があるのだが、先ほど読書メモを探ってみたらまずまずの評価を下していて、自分でちょっと意外。
その後、評判の良かった短編集も一切読まずにいきなり理系度が増していると云われるこの作品に挑んだが、おそらく歯が立たないんじゃないかというアタリは事前につけていた。
いやあ、もう歯がボロボロ。
のっけからいきなりイメージがつかめずに手探り状態でジリジリと読み進む。わからないところはドンドン飛ばせというありがたいアドバイスも頂いているのだが、読み飛ばせない性分というのはこういうときに困ったもんだ。
100ページを過ぎ、第2部に入るあたりでいきなりわかりやすくなる。
ホッとしてもう大丈夫かと読み進めていると、第3部に入りまたわからなくなる。
こうなってくると字面を追うのがやっとで、イメージを掴むどころの話ではない。
ただ、凄いヴィジョンが呈示されてるのだろうなあとおぼろげながらに感じながら、己の理解度の低さ、理系イメージ能力ゼロを怨むばかりである。
でも読んでよかったなあ、という気がしているのは何故だろうか。
多分SFでしか表現しえないカタチに触れる事が出来たからなんだろうなあ。

うっかり買ってしまった。
今までこの手のムックにはほとんど手を出さなかったのだけれどなあ。
やっぱマグマ大使は深層意識に刻み込まれちゃってるようで抵抗できない。
パラパラッとめくったらまずまずしっかり怪獣が紹介されているようだったので、なおさら欲しくなった。
マグマ大使の怪獣は白目が多くてちょっと異様だね。でも、アロン、ガレオン、ダコーダあたりは秀逸なデザイン。
あとはまあ、それなりの記事。『宇宙船』とかの雑誌に比べたらボリューム少ない割りに高いなあ。
ひとつオッと思ったのは、『鉄腕アトム』の70年代初頭の新デザインの奴(頭に星印みたいのがついた奴)にも実写化の動きがあったという記事で、少女が演じたそのデザインの写真が初公開として載っていること。
これは確かに見たことない、少なくとも僕は。
白黒時代のあのダサダサ実写アトムは有名だけどね。
次号以降買うかどうかは未定。
『赤目四十八瀧心中未遂』車谷長吉
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『Web標準の教科書』益子貴寛
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- ノンフィクション
『空中庭園』角田光代
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- 日本文学

このところ、小川洋子とか笙野頼子とか女性作家のものを集中的に読んでいたので、その一環として。決して文春文庫の新刊帯に映画化決定の文字とともにキョンキョンが写っていたからではありません。
先般、直木賞を取ったこの作家の有名作なのでタイトルは知っていたが、映画化されるとは知らなかった。
読んでる途中でキャスティングを知ったのだけど、微妙にハマっているような感じでその映画はちょっと興味深いなあ。
一見お互い隠し事のない明るい家庭が、その実それぞれ秘密を抱えており、その日常の断面図を家族の一人一人(+一名)の視点から描いた連作短編集。
非常にうまいし、あざとくなりがちなテーマなのに読んでて疲れない。
ひとつひとつのエピソードや設定自体は安物のTVドラマや少女マンガから取り出してきたようなペカペカなものなんだけど、人物像や視点がリアルだし、オチのつけ方というか処理が自然でうまいのだと思う。
なかなか楽しめたので、別の作品も読んでみましょ。

うーん、待った?。
『ストリート・キッズ』に始まるドン・ウィンズロウの傑作シリーズ「ニール・ケアリー」物の第4弾。
6年振りだって?
僕がこのシリーズを読み始めたのは、ちょっと遅れて2000年末から2001年にかけてのことだったと思うが、それからでも4年経ってるわけである。
原著はとうに出版されている物なので、翻訳が止まっちゃったのはいったいどうしてかなんて追求はとりあえずよすとして、まずは再びこのシリーズが読めるのを喜びたい。でも残すはあと一冊らしいが。
今回は『マイ・フェア・レディ』風のエピソードを下敷きに、大悪党、小悪党、愛すべきチンピラ探偵、どこか間抜けな殺し屋等入り乱れてのドタバタ編である。前3作に比べて圧倒的に軽い。
この軽さは何なのか。
ニールの内面描写も最小限。これまでのシリーズで数々の試練・苦難を乗り越えてきた後に残ってきた苦さがほとんど感じられない。ほとんど狂言廻し的な役割ともいえる。
じゃ、面白くないかというと、これが面白いので困るのだが。
後日譚的な性格を持つという次作にその理由はあるのだろうか。
これでやっと今作に出てきたキャラ、ウォルターがスピンオフした作品、『歓喜の島』が読めるぞ!
しかし、久々に創元推理文庫買って、改めて思ったけど、高いねえ。
400ページに満たない文庫が1000円オーバーですよ。トホホホホ。



