『カラスの親指』が大変よかったので、昨年のもう一作であるこちらも読んでみた。
これまた大変よろしい。実に具合がよい。
直木賞候補にもなってしまった『カラスの親指』の方がカラッとしていて親しみやすい感じがするかもしれないが、かといってこっちの『ラットマン』がウェットで後味が悪いという程のことでもない。
ただ多少そういう印象を受けるかもしれないね。
もちろん仕掛けのための必要条件となってるということがあるからなんだけども。
長さも程よく、スパッと終わる。
この感じ、好きだわあ。
『カラスの親指』が大変よかったので、昨年のもう一作であるこちらも読んでみた。
これまた大変よろしい。実に具合がよい。
直木賞候補にもなってしまった『カラスの親指』の方がカラッとしていて親しみやすい感じがするかもしれないが、かといってこっちの『ラットマン』がウェットで後味が悪いという程のことでもない。
ただ多少そういう印象を受けるかもしれないね。
もちろん仕掛けのための必要条件となってるということがあるからなんだけども。
長さも程よく、スパッと終わる。
この感じ、好きだわあ。
一応今年もやっておきましょう。
まずは新刊のなかから。例によってコメント無しの手抜き。
次点は『聖女の救済』東野圭吾、『ゴールデン・スランバー』伊坂幸太郎あたり。
読もうと思っていて年内に間に合わなかったのは『神獣聖戦Perfect Edition』山田正紀、『モダンタイムス』伊坂幸太郎、『ラットマン』道尾秀介、『ファミリー・ポートレイト』桜庭一樹あたり。
ここら辺は年明けに順に消化したい。
では、旧作から今年読んだものの中で10個選ぶと。
流れる/幸田文
ハローサマー、グッドバイ/マイクル・コーニィ
詩人と女たち/チャールズ・ブコウスキー
ソラリス/スタニスワフ・レム
きりぎりす/太宰治
ねにもつタイプ/岸本佐知子
月と六ペンス/サマセット・モーム
スプートニクの恋人/村上春樹
四畳半神話大系/森見登美彦
人のセックスを笑うな/山崎ナオコーラ
うーん、なんかベストテンって感じにならないので順位はご勘弁。
トータルで130冊ほど読めました。
おまけで期待ハズレ、というかかなり期待して読んだにも関わらず今の自分にはもひとつ合わなかったもの。
乳と卵/川上未映子
Self-Reference ENGINE/円城塔
虐殺器官/伊藤計劃
ここら辺はまだ楽しめたのですが、
シカゴ育ち/スチュアート・ダイベック
ベルカ、吠えないのか?/古川日出男
ハル、ハル、ハル/古川日出男
聖家族/古川日出男
キャラクターズ/東浩紀+桜坂洋
切れた鎖/田中慎弥
あたりはツライものが。
というわけで、一番一生懸命に読んだのに全然ハマらなかった古川日出男に対して、今後どのように接していけばいいのでせうか。
「このミス」はじめ年間ベスト類が出始めたので、その中から面白そうなものをピックアップしてポツポツ読み始めている。
このところそれらベストテンの常連となりつつある道尾秀介の名は確かに記憶にはあったが、自分の射程距離には入っていなかった。
今年の「このミス」のベストテンに2作品がエントリーされているので俄然興味を持った。
まずその一作『カラスの親指』から読んでみた。
コンゲームものということで、好きなジャンルということもあり、それなりに期待して読み始めたが、あっという間に引き込まれ、作者の手のひらの内にゴロゴロ転がされ、後味よく読み終えることができた。
テンポもいいし、会話も軽妙で文体もいい。
細かい所にも目配りが効いている。
直前に『流星の絆
』を読んでいたのだけど、リーダビリティは優れているし読んでまあ面白いとも思うのだが、なにかしらペラペラなイメージだなあってのが東野圭吾で必ず感じることなのだが、道尾にはその不満はない。
よく考えれば(考えなくとも)かなり無理がある話なのだが、世界が反転しつつキレイに収束していく様は非常に気持ちが良かった。
こりゃ他も読まんといかんねえ。


『テンペスト』池上永一
池上永一はいつかは読まなきゃいけないなあ、と思いつつこれまで未読だった作家。
『シャングリラ』とか『レキオス』とかその都度興味を惹かれてきたのだけども、そのままになっていた。
この『テンペスト』も発売当初から話題作となっている。
思い切って先にこちらから読むことに。
おお、こんな感じなんだ。
まあ確かに高低差の激しいジェットコースター的展開の小説である。
滅びゆく琉球王朝の史実を背景に縦横無尽に物語が進行する。
その史実に馴染みがない読者であるほど、この小説をよりファンタジックに受けとめて、絢爛豪華な宮廷世界の描写に翻弄されつつ登場人物達の動向に一喜一憂できるかもしれない。
しかしながら多分にマンガ的な描写・表現が一度気になってしまうと、書き込みの物足りなさや薄っぺらなロマンスや借り物の設定等が透けて見えてきてしまう。
そこをエンタメと割り切って読めば十二分に楽しめるし、そういう意味ではかなり映像作品向きと云えよう。
寧温/真鶴役に一番誰がハマるのか、さっきから考えているのだが最近の女優に疎いし思い浮かばん。
黒木メイサとかかなあ。(もうすぐ川島芳子役やるみたいだけど。)
5編からなる短編集。
最初の4編は、男が家からふいにいなくなり、時を経てふらりと戻ってくるという情景を共通して描く。
理由は明確に説明されないが、小説としてきちんとそこに描かれている。
「yom yom」なんかや他の中間小説誌とかで割とありがちな類の話ともいえるんだけど、橋本治が書くと、やはり別物になる。
エッジがキンキンに立って、心に痛いほどだ。
最初の「暮色」が鮮やかで、個人的には好き。
残りの一編は、ゲイとゲイを明確に拒まないノンケの男とその間で空回りする女の話。
「好き」ということのそれぞれにおける意味の差を突きつけられて、我々は何を思えばいいのだろう。
孤独、を強く感じる、まさに「夜」な話。

『聖女の救済』東野圭吾
『容疑者Xの献身』に続くガリレオシリーズ最新長編。
やあ、これが映画第2弾になるのかなあと思いつつ、旬のうちに読んでしまおうと読み始めたら、あっという間に読み終えてしまった。
さすがのリーダビリティ。
淡泊な感じは相変わらずで、映画にするには地味な話だが、まあ『容疑者X』にしたところでそんな派手な話ではないわねえ。
どの女優がゲスト役になるのか、と考えながら読むのも一興かも。
トリックはまさに「ありえない」もので、意味ありげに撒き散らされた伏線がそう繋がるかあ、と感心したが、湯川の言う「虚数解」っぽさをもっと醸し出してくれたら良かったのになあと贅沢な言い分。
好き嫌いはあるだろうけど、このぐらいのクォリティを保ったシリーズに対して他に文句はない。

『エドガー賞全集―1990-2007』ローレンス・ブロック他
現代ミステリ短編を読むのは久しぶりかも。ミステリマガジンとかもちゃんと追ってないしね。昔はこれでも「EQ」とか買ってたんだがなあ。
で、これは権威あるアメリカ探偵作家クラブ賞であるエドガー賞の1990年以降の最優秀短編賞受賞作を収録したお得な一冊。
冒頭のウェストレイクで、個人的には久々にドートマンダーに再会。
気分良くなってちょこちょこ読み進める。
一番読み応えがあるのは、おそらくトム・フランクリン「密猟者たち」(1999)だろうね。
マイ・ベストはジェイムズ・W・ホール「隠れた条件」(2006)かな。メリハリの効いた話だ。
チャールズ・アルダイ「銃後の守り」(2007)もありがちながら、余韻が残る。
ブロックのケラーもの2作は、さすがのリーダビリティ。
まあ、好き嫌いはあれど、1000円ならオトクといえる内容でしょう。

ここのところ出た読みたい本が全部大長編でどうにもこうにも。
古川日出男は昨年から今年にかけていくつか読んだものの、いまひとつしっくりこない。
しっくりこないと言いつつも読み続けているからには、なんかひっかかるところがあるんだろうけど、それがはっきりしない。
だからこの新作大長編に手を出すのは躊躇したのだが、世評も高いようだし今度こそ気にいるかもしれないと、思い切って読み始めた。
いやあ、やっぱり合わないわ。
波長がちがうのかなあ。独特の文体のリズムにまったく乗れないんだよね。
だから読んでて全然気持ちよくない。
作者自身は書いてて随分気持ちいいんだろうなあとは思うのだが、その分こちらが冷めてしまう感じ。
途中からは読むのが苦痛になり、ずいぶん速読をした。
だから作品についてはまったく評価自体をすることができない。最後までちゃんと読んだけどね。
まあそういうこともあるんだろう。
ごめんねごめんねー。
シネマエレキング
映画観た記録をだらだらと。