年に2度のお楽しみ『IPPONグランプリ』を14回目の今回もまずまず堪能した。
バナナマン設楽が常にアベレージの高い回答を繰り出し、ラストのお題にはそれしかない、正解、と思えるような答で優勝をかっさらった。
また、『内村プロデュース』などで密かに大喜利力の高さを光らせていたさまぁ~ず三村の参戦も見どころであり、肩の力の抜けた(抜けすぎた?)回答で楽しませてくれた。
で、チェアマンとして試合の解説を終始務めて進行をフォローするのが、この番組における松ちゃんこと松本人志の役割なのだが、ブロックの合間には視聴者からの回答を紹介するとともに、別回答例といった趣で自分の回答も二つ三つずつ付け加えるコーナーがある。
その回答が本戦の選手達の回答に比べ、さほど面白くない、と思わないか?
松ちゃんがフリップ出して回答すると会場の選手たちが笑っている姿がいちいち映されるんだが、いやいや君らの回答の方がずっと面白かったから、と言いたくなる。
いやしくも今のこのような「大喜利」の形を作ったのは、松本人志その人であると言ってもいいと思う。
『ダウンタウン汁』や『一人ごっつ』などでその天才ぶりを見せつけたのを勿論忘れてはいない。
大喜利の神、といってもいい存在ではないか。
神も衰えたのか?
いや、個人的には松本人志健在だと思っているし、松本人志は今も最強であり、出場選手の誰にも負けることがない、と固く信じるものである。
その最強たる所以は、瞬発力と間の良さと場の空気を瞬時に掴みとる力、だと思っている。
そもそも自分は松ちゃんの独得のワールド(「とかげのおっさん」とか「世界の珍獣」フィギュアとか)にはそれほどピンと来てなくて、たとえば映画なんかもやっぱ乗りきれない。
「ごっつ」とかのコントも好きなものはもちろんあったけども、作り込んだものよりも相手との掛け合いで生じる間を活かした笑いが好きだった。
『HEY! HEY! HEY!』とかでの何気ないようにみえるトークに、誰にもマネできない凄さを感じていたし、今でも『ワイドナショー』とかではコメントそのものよりも、ゲストやレギュラー陣との何気ないやりとりが楽しみでしょうがない。
そこまでの話の流れや相手の見た目等を素早い回転で掴み取り、その場の空気に最も適した内容を、的確に言葉を選んで、最高の間で発するのが松本人志の笑いの凄さであると思っている。
先日の『ダウンタウンなう』で綾小路きみまろとお初に相まみえた回で、芸風のまったく異なる先輩との対談で興が乗ったのか、自らの芸論を語っていたのが印象的だった。
「よくも悪くも瞬間芸なんですよ」
と自分の笑いについて松本人志は語った。
やはりそう自覚していたのだなあ、と感心しきり。
『ごっつ』とかのコントもほとんどリハをせず軽く設定を決めて本番で合わせることがほとんどだったとか、『ガキ使』の立ちトークもまったくなにも決めずに舞台でいきなり合わせていたとの話をして、きみまろを驚かせていた。
だから彼にとっての大喜利もそういう場でなければならない筈なのである。
単に「お題」があって「答」がある、ということではない。
場の空気があって、他の回答者の「答」があり、流れがある。
その時に必要とされるタイミングで厳選された言葉を絶妙な間で発する。
これが松本人志の最高性能が発揮される大喜利の場である筈だ。
だから、あの番組でのようにあらかじめ考えられた答を添え物のようにそそくさと発表する大喜利の答が、面白いわけはないのである。