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『八日目の蝉』(2011)監督:成島出

2011年05月06日 / 好み度Bランク / 元記事

八日目の蝉 原作は未読、NHKドラマ版も視てなくて予備知識最小限で臨んだが、結果的に良かった。 いや、原作付きの映画に関していわゆる『読んでから観る』派と『観てから読む』派に分けると、長年絶対的に前者だったのだが、今回、読まずに観てみてそれも悪くないな、と。 読んでからだとどうしても原作と比べてしまい、細部の違いや部分がどう処理されてるかなんてことばかり気になる傾向にあり、純粋に映画に入り込めないきらいがあると今更ながらに感じたりして。 映画は、147分と長いがそれを感じさせない。 間違いなくアカデミー賞作品賞ノミネート級ではあろうし、永作博美は主演女優賞候補に充分なるだろう。 明るい話ではないし(かといってどんより真っ暗ということではない)、不倫の末の赤ん坊さらいという設定自体が受け入れられないという向きもあろうが、巧みな脚本と丁寧な描写で観客を主人公二人に感情移入させることに成功している。 挿入歌等のセンスも良く、感動の押しつけも最小限で品の良い作りと個人的には思ったが、クライマックスの高まりをいささか冗長でわざとらしく感じる人がいるというのもわからなくもない。 この「泣かせ」を強引と取るか上品と取るかに関しては、もっとベタベタなのは他にたくさんあるじゃん、というのが僕の意見。 でも、ラストでかかる中島美嘉の主題歌が若干、そうしたTVの2時間ドラマ的な地点に引き戻しちゃってる感があるかも。 曲自体は悪くないんだけどね。 作中では、永作が逃げ込む「エンジェルホーム」(「ヤマギシ」とかを思わせる)の独特の雰囲気(エンジェルさんの余貴美子の演技含め)の造型や、美しく懐かしい小豆島の情景とそこに佇む写真館の存在が深く印象を残す。 特に、写真館店主役の田中の存在感が凄く、力のある役者陣の演技が積み重なるこの映画の中でもその短い登場シーンは白眉で、思わず画面に食い入るほどであった。