シネマエレキング

FC2ブログからの取り込みアーカイブ

『ハートロッカー』(2009)監督:キャサリン・ビグロー

2010年10月12日 / 好み度Bランク / 元記事

ハート・ロッカー [DVD]ハート・ロッカー [DVD]
(2010/09/02)
ジェレミー・レナーアンソニー・マッキー

商品詳細を見る

いわずとしれた第82回アカデミー賞作品賞監督賞他を受賞した注目作。 黒ひげ危機一髪もドキドキしちゃって苦手なぐらいの小心者としては、爆弾処理ものと聞いてまず腰がひける。 春先に劇場で予告編も見たがその段階で、わ、これはヤバそうだ、と確信。 日本公開とほぼ同時に賞を取ったせいで、結構話題になって内容もあれこれ取り沙汰されていたが、重いテーマには違いなく、いまひとつ劇場に足を運ぶ気持ちになれないまま、公開が終了しDVD発売の時期を迎えた。 とはいえ本年度公開作の中でも最大級の話題作のひとつには違いなく、現在まであちこちで繰り広げられている評論・論議を楽しむためにもこれはやはり見ておかなくては、とレンタルしてみた。 案の定、冒頭からキリキリ胃が痛む展開。 それでいて画面から目が離せない秀逸なカメラワーク。 以降も終始一貫して現場感アリアリの「目の前が戦場」描写は圧巻。 それが本当に「リアル」なものかどうかはしらない。 ただ、戦地の現場とはこういうものなのかもしれない、と迫ってくる感じはタダゴトではない。 中盤以降はドキドキにも慣れ、今度は作品のテーマに思いを寄せることになる。 そもそも「Hurt Locker」って何? アメリカ軍のスラングで「ヤバイ場所」とか「棺桶」とか「いたたまれない場所」とか、そんなような意味らしいのだが、それがわかってもその即物的な意味でこの映画の解釈を固定することはできない。 爆発処理を請け負う主人公は危険を顧みず、というよりもむしろそのスリルを楽しむかのように戦地で除去作業を進める毎日。 任期終了まで無事安全に任務を勤め上げようとする仲間達とはなかなか相容れずに、独断先行の行動も多い。 そんな彼も顔なじみになった現地の子どもにはふと心を緩めることもある。 その子どもに危険が及んだと彼が思った時、冷静であるはずの彼の中で何かが崩れる。 彼にも産まれたばかりの子供がおり、終盤、任期を終え家に帰った彼はその子供に語りかける。 そして...。 ラストシーンの彼の後ろ姿に何を見出すのかは、我々に委ねられている。(それは明白である、という意見があることも承知しているが。) 乱暴な言い方をすればそうしたテーマ性抜きにしても(この映画の根本を突き崩すような言い方だが)、いろいろ見どころがある映画だったので、僕と同じ理由で観るのを逡巡してる人がいればオススメする。