『アメリ』の(という但し書きがまだしばらくは付くんだろうな)ジャン・ピエール=ジュネ監督の新作。 父親を戦地の地雷で亡くし、自らも事故的な流れで頭に弾丸を受け、そのまま摘出されずに生活を送っている主人公が、それらの武器を製造した企業二社を偶然みつけることに。 ひょんなことから共に住むようになっていた、ちょっと風変わりな能力を持つ者達(ギロチン男、軟体女、人間大砲、ギミック発明家、測量女等々)のコミュニティの手助けを受け、武器製造会社への仕返しを目論む。 といったストーリー。 登場人物は悪役に至るまで皆魅力的で、仕掛けられたギミックは皆楽しい。 画面はジュネ独特のこだわりあるトーン、タッチで統一され、それらを眺めているだけで「あゝ映画を観ているんだなあ」という満足感に包まれる、映画の天使に祝福されたかのような作品。 名作傑作と持ち上げるにはいささか躊躇するが、実に好ましい愛すべき映画であるといえよう。 ちなみに軽妙でいてのんびりしたストーリー展開に反して、武器製造企業に対するアンチメッセージはかなり本気。 そこがまたこの映画を少しいびつにしている要素とも云えるが、特にクライマックスでその本気度がグッと伝わってくるのも確かだ。 ただ「復讐」という言葉は似合わず、「いたずら」であるとか「仕返し」という言葉がぴったりくる感じなのがらしいところかな。 にわかジャン・ピエール=ジュネファンとして思ったのは、先日観たばかりの『デリカテッセン』と比べるとグロっぽさは皆無で、やはりその辺は旧同士のキャロの持ち味だったということか。それでもストレンジ濃度は高めで、ちょうど『アメリ』と『デリカテッセン』の中間ぐらいの感じかな。